東京高等裁判所 昭和27年(う)1216号 判決
昭和二十七年一月九日附起訴状に公訴事実第四として被告人佐藤義美は江村倉吉、金田文吉と共謀の上昭和二十六年十一月上旬頃新潟港臨港船入場に繋留中の豊栄丸甲板において錨鎖一本、ワイヤーロープ一本を窃取したと摘示してあつたのを、検察官は同月十日附訴因変更請求書によりその被告人との共謀者を坂井光夫及び金田文治に変更し、同訴因変更請求書謄本は同月十二日被告人に送達されたところ、同月二十七日の原審公判期日において立会の検察官事務取扱は起訴状を朗続した上、さきに訴因の変更の請求をしておいたがその請求にかかわらず前記起訴状中被告人との共謀者として江村倉吉とあるのを板井光夫と訂正する旨申し立て、弁護人及び被告人は右訂正に異議ない旨述べ、裁判所は右申立を却下することなく手続を進めていること及び原判決においては被告人が坂井光夫及び金田文治と共謀の上右起訴にかかる犯罪を行つた旨認定していること記録に照らし明らかである。所論は共犯者の変更は起訴状訂正の形式では許さるべきでなく、且つ前記請求のあつた訴因の変更も未だ効力を生じていないから、本件は審判の請求を受けた事件について判決せず、審判の請求を受けない事件について判決した違法があると主張するのであるが、前記のよるに共犯者の氏名を変更する程度のことは訴訟関係人に異議なき限り公判期日における起訴状訂正の申立という形式をもつて行つても差支ないものと解するのを相当とするから、本件起訴状の訂正は有効であり、従つて原判決には所論のような違法はない。論旨は理由がない。